「杼」とは、張られた経糸に緯糸を通す仕掛けが杼なのである。私の仕事場は、小幅ものが主な仕事だから、杼もそういろいろな種類があるわけではないのだが、下の写真のような杼がある。「杼」といえば、「材と技」の京都の長谷川杼製作所をおいてないだろう。3代目当主の長谷川淳一 氏は1933年のお生まれ、奥様とお二人で杼を製作している。沢山の種類の杼、その一つ一つのすべてが姿が美しい、美しさは使い勝手の良さに通じる。そして美しさばかりでなく、そこには裏づけされた製作理論もあるのだろう。お元気でお仕事を続けてほしい。
私の仕事場のいろいろな杼、二三を除いて、あとは長谷川さんの杼 |
これはバッタン織用の飛び杼 |
すくい織り用の杼、全般的にうすく・小さく・細く・長くと多種類 |
上2点は昔の木綿糸用杼 |
手投げ杼、おもに紬糸用の手越しの杼 |
以上が、長谷川さんの杼だ。
次は、・・・・板杼、太い糸や外皮など管(ボビン)に巻けないようなものを織るのに使用する。
奥の2つは、裂織やウール太糸用の板杼 |
一つの木魂から、削り刳られ、作り出す杼だが、国や地域、そして使い道によっても形が違うのがおもしろい。しかし基本的には同じものだ。単純だからこそ織る人に扱いの技術が求められる。今も世界各地で刀杼によって、おおらかで魅力のある布が織られている。
地機用刀杼 |
穴に緯糸を巻いた管を入れ、緯糸を通すだけでなく、 筬代わりに打ち込む役目もある |
まだまだ、いろいろな杼はあるだろう。織物の先端では織機には杼のない織機が出てから久しいのではないのか。シャトルレスの織機だ。杼のかわりに水や空気を使い緯糸を飛ばす。ヲータージェット、エアージェットとよばれ、音も静かなうえ織るスピードも素晴らしい。そのような科学技術の粋をあつめた道具もあれば、人手によって静かに作り出される道具もある。
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長谷川杼製作所 602-8313 京都市上京区五辻通千本西入風呂屋町55
電話075-461-4747 長谷川淳一
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